頬はニキビができやすい場所のひとつ。できる場所によって原因は異なるのでしょうか。また、有効なスキンケアは場所によって変わってくるのでしょうか。
ここでは、頬のニキビができる場所について取り上げます。
ニキビができる場所のジンクス…左右で違う?
ところで、同じように頬にニキビができたとき、左側と右側とで違いはあるのでしょうか。
結論としては、科学的に見た場合には違いはありませんが、次のようなジンクスが知られています。
- おでこ…思いニキビ
- あご…思われニキビ
- 左頬…ふりニキビ
- 右頬…ふられニキビ
顔を上・下と左・右に分け、ニキビがどこにできるかによって恋愛のジンクスが変わるという説です。
顔の上・下は「思う」か「思われる」か。顔の左・右は「ふる」か「ふられる」か。というように正反対の意味が与えられています。
これから見るスキンケアの観点を当てはめると、額はテカりやすく、顎は乾燥しやすいので正反対の意味になるのは分からなくはありません。でも、頬にできたニキビが右か左かで意味が正反対になってしまうのはちょっと理不尽な気がしますね。
これと関係があるかどうかは分かりませんが、古代中国の思想に「五行」(ごぎょう)というものがあります。医術にも応用されており、左右の脈を比較して左が特徴的な場合は肝か腎、右が特徴的なら肺か脾、というように内臓と結びつけられます。そして、内臓は感情と次のように関連づけられています。
- 肝…怒
- 腎…恐・驚
- 肺…憂・悲
- 脾…思
ふる人は怒っているでしょうから肝の人かな、ふられる人は悲しいだろうから肺の人かな、と考えられなくもないですが、いずれにしてもちょっと無理のある説明になってしまいますね。
ジンクスの話はこの辺にして、スキンケアの観点からニキビができる場所について見てみましょう。
場所によって異なるニキビの原因
ニキビは大きく分けて、
- 思春期ニキビ
- 大人ニキビ
に分けられます。それぞれの特徴を見てみましょう。
思春期ニキビができる場所【Tゾーン中心】
年齢でいうと思春期から20歳前後までにできやすい思春期ニキビ。その原因は過剰な皮脂の分泌による毛穴詰まりです。
額や鼻といった皮脂の分泌の盛んな場所にニキビができます。成長期特有のホルモンバランスの変化によって皮脂が分泌されやすいといった年齢的な要因が背景にあります。
大人ニキビができる場所【Uゾーン中心】
年齢でいうと20歳過ぎから40歳くらいまでの人にできやすいのが大人ニキビ。その原因は主に肌の乾燥によるバリア機能の低下です。
顎や口の周りといった皮脂の分泌が少なく乾燥しやすい場所にニキビができます。働く世代が多いこともあり、ストレスや不規則な生活リズム、食生活の乱れが背景にあります。
ニキビができる共通の原因
皮脂の分泌が多い場所にできる思春期ニキビも、乾燥しやすい場所にできる大人ニキビも、つきつめると直接の原因は毛穴の詰まりです。
思春期ニキビができる人は皮脂の分泌が多く、そのため毛穴が開き、汚れが入り込みやすくなっています。また皮脂の分泌自体が多いので皮脂が汚れと混じりあって毛穴に留まりやすいのです。このようにして毛穴が詰まると、その中にニキビの原因となるアクネ菌が繁殖してニキビができ、悪化すると膿が出るようになります。
一方、大人ニキビができる人は皮脂が少ないため、本来なら毛穴は小さく、汚れが入りにくいはずです。しかし、肌の乾燥によって、肌を外部の乾燥からガードするバリア機能が低下しているため、肌の自浄作用が働きにくくなっています。すると排出されるべき毛穴汚れが留まって毛穴を詰まらせ、ストレスなどにより一時的に皮脂が増えるタイミングでアクネ菌が繁殖します。
このように、ニキビの原因となる毛穴の詰まりは、皮脂が多いときはもちろん、皮脂は少なくてもバリア機能が弱まっているときに起きやすくなります。
なお思春期ニキビ、大人ニキビという分類は、年齢層にフォーカスした命名になっていますが、肌タイプで言い換えると、思春期ニキビは脂性肌タイプ、大人ニキビは乾燥肌タイプまたは混合肌タイプということもできるでしょう。
それでは次に、肌タイプごとにスキンケアのポイントを見てみましょう。
脂性肌タイプのニキビ対策
額や鼻にニキビができやすい人は、皮脂の分泌が多い脂性肌タイプの可能性があります。
脂性肌の背景には肌内部の乾燥があります。
肌は表面から角層、表皮、真皮、皮下組織の順に層をなしています。一番表面にある角層はセラミドやNMF(天然保湿因子)という細胞間脂質の働きで水分を保持し、バリア機能を作り出しています。
しかし角層の水分量が低下して乾燥した状態が続くと、これ以上乾燥させないために肌は皮脂のベールを作って乾燥を食い止めようとします。その結果、皮脂が過剰に分泌されて脂性肌になるというわけです。
脂性肌の人のスキンケアで重要になるのが、毛穴汚れと余分な皮脂を洗い流す洗顔です。ただしゴシゴシと力をいれて洗うと肌を傷つけ、防衛反応で皮脂の分泌がさらにふえるので優しく洗うように心がけましょう。
洗顔は1日2回までとし、洗顔料の泡を使って、皮膚同士が擦れないように注意しながらやさしく洗います。
もともと角層の水分不足から皮脂の過剰分泌が生じているので、化粧水で角層にうるおいを与えることが大切です。保湿力の高いアイテムが理想ですが、すでに油分は十分にあるのでサッパリタイプの化粧品がよいでしょう。
乾燥肌タイプのニキビ対策
乾燥しやすい頬や顎にニキビができやすい人は、皮脂の分泌が少なく肌が乾燥する乾燥肌タイプの可能性があります。
脂性肌タイプの場合は角層が乾燥した結果、皮脂の過剰分泌が生じました。油分はあっても水分がない状態です。一方、乾燥肌タイプの場合、角層が乾燥している上に皮脂の分泌もありません。つまり、油分も水分もない状態といえます。
脂性肌では肌のテカリや皮脂による炎症などは起きるもののバリア機能自体は強く、肌荒れを起こしにくいのが特徴です。反対に乾燥肌は油分も水分もないためにバリア機能が非常にもろく、外部の刺激をダイレクトに受けて肌荒れが起きやすくなっています。
バリア機能が正常であれば肌の自浄作用によって毛穴が詰まるのを防ぐことができます。バリア機能が弱いために毛穴が詰まり、出口を失った古い角質にアクネ菌が繁殖してニキビができてしまいます。
乾燥肌の人のスキンケアで重要になるのが、皮脂を取り過ぎない洗顔と保湿です。朝の洗顔はぬるま湯だけ、または皮脂が多めのところにだけ部分的に洗顔料をつけてやさしく洗い流します。乾燥しやすいので化粧水の後には油分を含む乳液やクリームを用います。夕方ごろに肌が乾燥し始めるようなら乳液やクリームを塗り足すのも忘れずに。
油分も水分も不足している乾燥肌の人には、しっとりとした高保湿の化粧品がよいでしょう。
混合肌タイプのニキビ対策
混合肌とは、上に挙げた脂性肌と乾燥肌の性質をあわせ持った肌タイプです。季節によってテカりやすくなったり、反対に乾燥しやすくなったり。または、額はテカりやすく、頬は乾燥しやすい、というように時期や部位によって肌の性質が異なっています。
実は、日本人女性には混合肌タイプが一番多いそうです。例えば乾燥肌だと思っていても、混合肌の人が一時的に乾燥よりにバランスを崩しているだけだったりします。
混合肌の人は、顔の部位ごとの特長を把握して、皮脂が多い部分、乾燥しやすい部分を区別した「顔マップ」をイメージしてスキンケアを使い分けるのが有効。顔全体に乾燥肌対策をしてしまうと額にニキビができやすかったり、反対に顔全体に脂性肌対策をしてしまうと頬が乾燥してニキビができたりします。
この場合は、額と頬でスキンケアを変える必要があります。例えば、乳液を使っている人であれば、額の乳液はティッシュで拭き取って油分を与えすぎない、というようなひと工夫をしましょう。